無菌室という場所は殺風景な部屋である。刑務所(に個室があるかどうか知らないが)とビジネスホテルシングルを足して2で割ったようなインテリア。常時、空調が「ぶぅーん」となっていて耳障りで、蛍光灯の光がチカチカしてまぶしい。杏の城が幸いなのは、大きなガラス窓があるという点。ただしこれは、雪の日、雷雨の日、変わった雲が浮かんでいる日、夕焼けがきれいな日、ときたま虹の日など、気象的スペクタクルを楽しめる日以外、あまり面白みはない。つくづく、この部屋に1つでもあれば、心の緊張がとけるだろうにと思ったものが、白熱灯ランプである。
<禁断の持ち込み品>
1)白熱灯
成城の「attic」で高さ25センチくらいの小さい卓上ランプを購入。これを無菌エリア外にある専用冷蔵庫の上に置いて、夜中付けっぱなしにしてみようと思う。
2)かぶりもの
白血病患者にかかせない帽子。バンダナはいかにも「闘病がんばってます風」でイタいし、だからといって何もかぶらないと頭が寒い。やわらかいコットン帽子をいくつか先輩に寄贈していただいたので、それをかぶったりかぶらなかったりしていたが、今回は思い切ってドリーミーなヘアーキャップを持参しようと思う。ちなみに色は白。