2010年9月2日木曜日

鉱山と宇宙と無菌室

「冷蔵庫が空っぽ」と言ったら、キシリアさんがGODIVAの紙袋にじゃがいもが入れて「ほい」とくれた
チリの鉱山事故で、地下700メートルの避難所に
33人の作業員が閉じ込められているというニュースを見ました。
作業員たちのメンタルサポーターとして、
NASAの専門チームが加わり、
「偽りの希望を持たせない。正直さがカギ」などとアドバイスしたそうです。
作業員らにショックを与えないよう、
救出に数カ月かかることはまだ伝えていないらしいとか。
早めにそういうことを知っておいた方が、
作業員が体力も気力も温存できるのではないかと、
シャレさんは思います。
シャレさんはみなさまのおかげでいまはこうして、
比較的チャラチャラと生きておるようですが、
1年半の無菌室生活を振り返ると、
鉱山に閉じ込められた作業員たちの気持が想像できます。
「何でこんなとこに?」「助かるの?」「いつまでここに?」
体力が損なわれた後に、気力が徐々に奪われいきます。
3カ月を過ぎるころから諦め半分の無気力な状態に陥ります。
生きているのに死んでいるような…
そんなシャレさんのところに、
「リエゾンナース」とよばれる特別看護士がやってきました。
精神医療のエキスパートです。
長期入院における生活指導、カウンセリング、
自律神経訓練法、マッサージなどを施してくれます。
聖路加から出向してきたそのリエゾンナースは、
小柄な女性でありながら聡明な男前。
落ち着いた低い声と厚い手のひらで、
メタメタになったシャレさんの心を癒してくれます。
患者と家族と医者を“結びつけ橋渡しをする”という、
本来のリエゾンの意味を超えて、
天上へ行きがちなわたしの魂を、
地上へしっかりと結びつけておいてくれるという意味で、
まさにリエゾンでありました。
リエゾンナースがいなかったら、
シャレさんは奈落の底を掘り続けて、
マントルまで達して燃え尽きていたと思います。
なのでシャレさんは、同じように行き詰まっている患者友達に会った際には、
そのリエゾンナースに話を聞いてもらうようすすめました。
しかし、シャレさんの入院していた大学病院には、
リエゾンナースがたった1人しかいません。
病院の投書箱に「もっと増やした方がいい」と要望しています。
未知の危険と隣り合わせである宇宙飛行士が、
閉鎖空間に長期間滞在する際、
どうやったら心安らかでいられるのか、
集中して任務を遂行できるのか、
そういったことをよく知るNASAの専門家チームは、
リエゾンナースみたいなものだと思います。
鉱山に閉じ込められた作業員たちが、
タバコや酒を地上に要求したら、
NASAチームに怒られたとかいうニュースもあるようです。
それを聞いてちょっと安心しました。

2 件のコメント:

  1. 原子力潜水艦の乗組員向けのカウンセリングノウハウなどが有効な気がしていました

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  2. さすがエアロ系のcanoeさん…
    原子力潜水艦までは想像できませんでした。
    そういうノウハウ知りたいです。

    てゆうか、そういうノウハウを会社付きのお医者様にも、
    ぜひ身につけていただきたい…

    返信削除

自己紹介

自分の写真
2007年12月31日、ドラマみたいに白血病で突然入院。かーなりハードな化学療法(JALSG ALL 202-O)を1年かけてやり過ごし、2009年3月に末梢血幹細胞移植を受け、2010年11月に臍帯血移植を受け6カ月以上寝たきり状態に。退院したと思ったら、半年ばかり入院、そしてまた半年ばかり入院して、2013年を病院で迎えてしまって、いっぱいいっぱいな日々をひっそり過ごしている人がひっそり書いている雑記。